NLPの用語のなかで最もポピュラーなもののひとつが『リフレーミング』です。
リフレーミングとはそのまま直訳すると『フレーム(枠)を付け直す』という意味です。
人は物事を見通す時に必ず、自分の枠組み(フレーム)を通して物事を判断しています。
リフレーミングをおこなうことによって『心の反応』や『解釈』を変えていくことができ、質の良いコミュニケーションが出来たり、物事を円滑に進めることも出来ます。
そこで本記事では
- リフレーミングの概要
- リフレーミングの効果
などについて解説していきます。
目次
『リフレーミング』とはなにか?
NLPの『リフレーミング』とは冒頭で述べたように、物事の枠組みを外して新しい枠組みで物事を見通すことをさします。
リフレーミングは心理療法のひとつである家族療法から派生したものです。
リフレーミングについては言葉で説明するより、体感的に説明した方が分かりやすいので、映像を例にとって説明します。
まず以下の画像を見てみてください。
上記の写真をみてどんな印象を受けるでしょうか?
特に被写体の女の子に関して『この女の子はどのような子なのか?』ということを推測してみてください。
性格や生まれや育ちなど、物語の登場人物をみるように女の子のパーソナルな部分を想像してみます。
イメージできましたか?
推測が出来たら次の写真に移ります。
今度の写真はどのような印象を受けるでしょうか?
見れば分かりますが先ほどの画像と今回の画像の違いは、『外枠のフレームを変えただけ』です。
写真の女の子の画像は全く変わっていません。
しかし、この画像を見ると先ほどの画像と印象が変わっていますよね。
さらに、外枠がゴージャスな印象に変わったからか、『中の画像の女の子に対する印象』も変わって見えませんか?
この画像をみながら、もう一度この女の子のキャラクターを想像してみるのも良いかもしれません。
では、分かりやすく最後にもうひとつ画像を出します。
今度の写真も先ほどの写真とは、また大きく違った印象を受けるのではないでしょうか?
先ほどのゴージャスな外枠に比べて、今度は花に囲まれていて可愛らしい印象を受けます。
また、この女の子の印象が変わってきたのではないでしょうか?
いかがだったでしょうか?
実は人はこのように物事を捉える時に、無意識的に自分の枠組みを持って物事を判断しているのです。
リフレーミングではこの枠組みを意図的に変え、物事に対する解釈や反応を変えていくことをしてきます。
リフレーミングをおこなうことによってどのような効果が起きるのか?
リフレーミングでは、先ほどの写真のように『物事を見通すフレーム』を変えるアプローチをします。
フレームを変えることによって、物事の印象が変わります。
SNSの投稿などをみていると分かりやすいですね。
みんな同じ情報をみているはずなのに、人によっては共感したり、好感を持ったり、反発したり、はたまた炎上したりするわけです。
このように人によって解釈や反応が違うのは個々の捉え方(フレーム)が違うからです。
フレームが変われば、印象が変わり、反応が変わります。
反応が変われば、気持ちも変わり、行動も変わります。
ちょっとした小さな心がけのように思えるかもしれませんが、これが非常に効果があるのです。
ベテランのカウンセラーやコーチはこのリフレーミングの技術に長けていて、クライアントの人生に影響を与えるほどのリフレーミングをおこないます。
リフレーミングの例
ではここで実際のリフレーミングをおこなっている例をあげます。
目の前に仕事でなんらかのミスを起こして落ち込んでいる人がいるとします。
この人の気持ちをなんとか、明るい方向に切り替えたいという状況です。
変えたいフレームを特定する
リフレーミングをしようとする場合、まずはこの人を落ち込ませているフレームに気づいてあげなければなりません。
実は『落ち込んでいる』という感情的になっている時ほどなんらかのフレームが働いているからです。
この人は『仕事のミス』に対して否定的なフレームを通して解釈しています。
『仕事のミス』=『能力が低い』とか
『仕事のミス』=『周りに迷惑をかける』
などといったネガティブな解釈(フレーム)を持っているのです。
だから落ち込んでいる当人から話を伺いながらどのようなフレームを持っているのか、特定する必要があります。
仮に答えが『仕事でミス』したということは『自分には才能がない、能力がない』ということなんだと解釈していたとします。
新しいフレームを通して解釈を変える
ネガティブにしているフレームを特定したら、次はポジティブに切り替えるフレームを相手に認識してもらう必要があります。
この時さまざまなアプローチがあります。
典型的な例は『比較』と『意味付け』によるリフレーミングです。
「俺なんかお前と同じ年齢の時なんか、もっと酷いミスをしていたよ。けれどその経験のおかげで今は重役を任されているから気にするなよ。」
と励ます人がいたとします。
会社の上司や先輩などがよくやる部下の励まし方ですよね。
実はこの何気ない言葉にもリフレーミングの要素が含まれています。
「お前と同じ年齢の時なんか、もっと酷いミスをしていたよ」という言葉には『自分よりもっと酷いミスをしていた人がいる』という比較対象をあげることによって自分の過失を小さく感じたり、安心感を与えることが出来ます。
また、『けれどその経験のおかげで今は重役を任されている』という言葉の裏には『失敗の経験を糧にしたから重役になれた』という意味を含んでいます。
つまり、『仕事のミス』そのものに対するの意味づけを変えたのです。
元々は『仕事のミスは才能がない、能力がない』だったのが『仕事のミスは成長に繋がり、将来的に大きな糧になる』という意味に変わったのです。
あの歴史上の人物はリフレーミングの天才!?
余談ですが、リフレーミングによって人類に大きな功績と貢献を残せた歴史上の人物がいます。
歴史上で初めて白熱電球を考案した、あの天才発明家、トーマス・エジソンです。
エジソンの名前を聞いて、もしかしたらピンときた人もいるかもしれませんね。
エジソンはリフレーミングによって、白熱電球を発明できたといっても過言ではないのです。
エジソンが白熱電球を開発するまでに、2万回以上の失敗を重ねたことはあまりにも有名なエピソードです。
2万回の失敗と聞くと並大抵の意志力では、まともに続けることは出来ないと思いますよね。
実際、電球の開発に成功するまでは『エジソンの愚行』として世間で馬鹿にされいたようなのです。
この時代にとあるインタビュアーがエジソンに「そんな失敗ばかり重ねていても、意味ないんじゃないですか?」尋ねました。
するとエジソンはこのように答えました。
「君は何もわかっていないね。私は失敗したんじゃない、私はうまくいかない方法を人一倍多く発見したんだよ。だから今までやってきたことは全て成功なんだ。」
と答えたそうです。
この話はあまりにも有名なエピソードなので、一度は聞いたことはあるかもしれませんね。
そう、エジソンは失敗そのものに対して意味付けを変えてリフレーミングをしていたんです。
世間一般の考えは『失敗』=『愚かなこと、恥ずかしいこと』といったイメージが強いです。
しかし、エジソンは『失敗』そのものの定義を『成功』に変えていたんです。
だから、気の遠くなるような実験の日々を一喜一憂せず、気力が尽きることなく、黙々と続けることが出来たのです。
このようにリフレーミングには精神状態だけでなく、人生そのものを大きく左右しかねない可能性があるのです。