
クライアントとカウンセリングをしていると『素の自分をさらけ出すことが怖い』という人は少なくありません。
誰しも人間関係を構築するうえで社会的に他者に見せられる顔と見せられない顔というものを持っています。
自分をさらけ出すことが怖いという人はコミュニケーションにおいて無意識的に相手に合わせて繕ってしまい、結果的に人間関係に疲れてしまう人が多いです。
そして相手に合わせることが癖づいてしまうと、
- 自分のやりたいこと
- 言いたいこと、本音
などに蓋をしてしまって感情表現をうまく出来なくなってきたりします。
では自分をさらけ出すことに抵抗や恐怖を感じる状態から抜け出すにはどうしたら良いのでしょうか。
そこで本記事では
- 自分をさらけ出せない具体的な原因
- 自分をさらけ出せるようになるヒント
などを解説していきます。
目次
そもそもなぜ自分をさらけ出すことが怖いのか
統計的にみると自分をさらけ出すことが怖いのは以下の要因があげられます。
・セルフイメージが低い
・人に対して優しさや貢献心が強い
・自分をさらけ出すことに関して苦い経験がある
それぞれ解説していきます。
自己評価よりも他者評価を優先する
自分をさらけ出すことに対する抵抗が強い人は自己評価よりも他者評価を優先する傾向があります。
自己評価とは自己に対する自分自身の評価のことで、いわばセルフイメージのことです。
対する他者評価とは自己に対して下す他者の評価です。
基本的に人は自己評価よりも他者評価の影響を大きく受けています。
例えば、出かける前に鏡を覗きながら服装や髪型など一生懸命お洒落にきめ込み、爽やかな気持ちで街へ出かけたとします。
この時は自分自身のセルフイメージが上がっているので気分が良いです。
しかし、その後出会った知人から『今日の服装なんだかダサいね』と他者評価がはいってきたらどうなるでしょうか。
それまでのポジティブな気持ちが一転、一気に気持ちが暗くなりますよね。
自分をさらけ出すことが怖いという人はこのような他者評価に敏感なことが多いです。
素の自分を出そうとすると
- 自分をさらけ出すと嫌われないだろうか
- 自分をさらけ出すと変な人と思われないだろうか
といったように他者のネガティブな評価を想像してしまうのです。
セルフイメージが低い
前述の他者評価と繋がってきますが、セルフイメージが低いことも自分をさらけ出すことに対する恐怖と繋がってきます。
セルフイメージが低いと『素の自分を出すと周りに嫌な影響を与える』という先入観を持ってしまいます。
本当の自分は性格悪いとか、醜い存在だといったネガティブなセルフイメージです。
すると無意識的に人間関係に距離を取ったり、素の自分をさらけ出すことに抵抗を覚えてしまいます。
人に対して優しさや貢献心が強い
もともと人に対して優しさや気遣いが出来て貢献心が強いといった人も自分をさらけ出すことに抵抗感を感じる人が多いです。
優しさや気遣いが出来る人はもともと、相手がどうやったら気持ちよくなってくれるのかを判断基準に行動する癖があります。
すると素の自分を出すより、他者の求める自分を無意識的に演じてしまうことがよくあります。
本当は素の自分を出したいのに、相手に気を遣わせたくないし、不快にさせたくないからやめておこうと思ってしまうのですね。
自分をさらけ出すことに関して辛い経験がある
自分をさらけ出すことに関して辛い経験があるとも素の自分を出せない要因になります。
特に幼少期から思春期にかけての時期に人間関係で辛い体験をする素の自分を出すことに対して強い恐怖感を感じるようになります。
例えば、
- はしゃいでいたら、親に強く叱られた
- 学校のグループ活動にうまく馴染めなかった
といったような体験です。
人によってはトラウマとなり、同じ痛みを再体験することに恐怖を感じるようになります。
いわば素の自分を出せないのは自身の身を守る為の心の防衛反応となっているのです。
自分をさらけ出すようになる為の考え方と対処法
自分をさらけ出せるようになる為には素の自分を出すことに対する抵抗感や恐怖感を解消する必要があります。
抵抗感や恐怖感を解消するには以下のような対処法が挙げられます。
・自分をさらけ出せない人間関係に価値があるのかを考える
・素の自分のアイデンティティを書き出し、行動してみる
それぞれ解説していきます。
新しい人間関係を構築し、素の自分を出してみる
新しい人間関係とは、環境を変えるなどしてこれまでとは違う人達と出会って素の自分を出してみるということです。
今すでに出来上がっている人間関係は『素の自分を出せないまま築き上げた関係性』です。
そんななかで急に素の自分を出すことにはハードルが高いですし、相手も違和感を感じるかもしれません。
しかし、新しい出会いのなかで最初から素の自分を出していれば相手はそれが第一印象になるので違和感を感じませんし、ハードルもそれほど高くありません。
新しい環境で素の自分をキャラクターとして認知してもらえばよいのです。
新しい人間関係を構築するには何か新しい習い事を始めてみたり、特定のサークルや同好会などに入ってみるのもおすすめです。
また、リアルな交流に苦手意識がある人はSNSなどで新しいアカウントを作って素の自分の考え方や価値観などを発信してみるのもよいです。
とはいえ、今の人間関係から逃げるように新しい人間関係を形成すれば良いというわけでもありません。
詳しくは以下の記事で解説しています。
自分をさらけ出せない人間関係に価値があるのかを考える
どうしても素の自分をさらけ出すことに抵抗がある人は一度、今後どのような人間関係を築いていきたいのか改めて考えても良いかもしれません。
素の自分をさらけ出せないままの人生に価値はあるのか?ということを自問自答してみるのです。
今現在は小さい問題に思えたとしても、長期的な視点で考えれば真剣に向き合わなければならない課題だと感じるようになります。
素の自分のアイデンティティを書き出し、行動してみる
素の自分のアイデンティティを一度書き出してみることも行動を変えるきっかけとして良いかもしれません。
アイデンティティとはいわば自分はどういう存在かを自己定義したものです。
- 私は優しい
- 私は若い
といったようなものです。
素の自分をさらけ出すことが難しいという人は『社会的に振る舞っている自分』と『素の自分』のギャップがあります。
- 本当の自分は明るいのに、なぜか暗い雰囲気で振る舞ってしまう・・
- 本当は優しくしたいのに、いつもつい怒ってしまう・・・
といった風にです。
この場合、『素の自分ならどう行動や習慣をおこなうのか』ということを書き出してみます。
- 本当の私は気さくで優しい・・だから一日一回人助けをしよう
- 本当の私は明るくて楽しい・・だから一日一回人を笑わせることをしてみよう
といったように書き出してみます。
ほんの些細なことですが、自分の望んでいることを紙に書いてみることによって心の整理がつき、行動に移しやすくなります。