『書評』一兆ドルコーチ これからのリーダーには必読の一書です

本記事ではグーグルやアップルを始めとしたシリコンバレーの世界的大企業の発展に貢献したコーチ『ビルキャンベル』の教えを綴った『一兆ドルコーチ』を紹介していきます。

本書は『Trillion Dollar Coach』を翻訳したものです。

2019年11月に日本で出版されましたが、ビジネス書のベストセラーランキングなどに名を連ねたり、書店のおすすめコーナーに平積みされたりするなど話題を呼びました。

あの、アップルやグーグルをはじめとしたシリコンバレーの世界的大企業を成功に導いたコーチというのですから、それはインパクトありますよね。

そこで本記事では『一兆ドルコーチ』の

  • 概要や目次
  • レビューやおすすめのポイント

などを紹介していきます。

『一兆ドルコーチ』の概要

冒頭で紹介したように本書はシリコンバレーの大企業を成功に導いたコーチ、ビルキャンベルの教えを綴ったものです。

しかし、本書の著者はビルキャンベルではなく、元グーグルのCEOのエリックシュミットをはじめとした、ビルキャンベルに影響を受けた人たちによって書かれています。

内容もビルキャンベルと交流があり、彼に深く信頼を置いていた80人以上の人々へのインタビューなど実話ベースで構成されています。

グーグル社内で実際にあったのエピソードなど具体的なケースを紹介しているので、非常に説得力がある内容です。

スティーブジョブズやラリーペイジをはじめとした、誰もが憧れるシリコンバレーのリーダー達と信頼関係を築き、組織や個人の成長を促進し、勇気を与え続けたのがビルキャンベルです。

ビルキャンベルは2016年に逝去されましたが、その教えは今でも多くの人に影響を与え、愛されている存在ということを本書は証明しています。

著者の『エリックシュミット』について

本書の著者の1人である、エリックシュミットはGoogleの元CEOであり、同社を世界的大企業に成長させた立役者の1人です。

一時期はAppleの取締役にも選任されたこともあります。

そのエリックシュミットはビルキャンベルから15年以上教えを受けてきたのです。

ビルキャンベルが逝去した当初、このままではビルキャンベルの偉大な教えが失われてしまうと危機を感じて、執筆したのが本書でした。

本書を読むのにおすすめの人

  • 会社の経営者、マネージャーなどの上層部
  • 起業などこれから組織をつくっていこうとする人
  • ビジネス上で信頼ある人間関係を作っていきたい人
  • リーダーシップを学びたい人
  • コーチングをおこなっているコーチ全般

本書はビジネスに関心がある人であればどのような人でも学びになる書籍だと思いますが、特におすすめしたいのが上記の人です。

コーチングなどのテクニックではなく、相手を理解する気持ちと深い愛情を持つビルキャンベルの人柄には大変学ばされるところがあります。

『本タイトル』の『目次』は?

目次
序文 ── シリコンバレー最大の伝説(アダム・グラント)

なぜ誰もがビル・キャンベルの話をするのか?
「最先端の研究」のはるか先を行く考え方
人の最良の部分を最大限に引き出す

Chapter1 ビルならどうするか? シリコンバレーを築いた「コーチ」の教え

 シリコンバレーでの無数の偉業
 チームに「思いやり」を持ちこむ
 すばやく動く
 「やっちまえ!」の行動原理
 クラリスのスピンオフ
 「人材育成」は千差万別に向き合え
 スティーブ・ジョブズとの信頼関係
 グーグルCEOたちへのコーチング
 シリコンバレー中のCEOをコーチする
 誰が壇上に上がったか?
 ビル・ゲイツへのハグ
 「1兆ドルのコーチ」とは?
 チームをコミュニティにする
 パフォーマンスが高いチームの条件
 ビルならどうするだろう?
 ビルのメソッドの「4つの側面」
 Don’t fuck it up!

Chapter2 マネジャーは肩書きがつくる。リーダーは人がつくる 「人がすべて」という原則

 マネジャーを置け
 現場の士気がすべて
 リーダーは部下がつくる
 マネジメントの「細部」にこだわれ
人がすべて
 「最高のマネジャー」の条件
「旅の報告」から始める
 職場環境とパフォーマンスの相関性
 コミュニケーションが会社の命運を握る
議論すべき「トップ5」を挙げよ
 同僚の意見に注意を払え
 本心からのメッセージを伝える
円卓の「背後」に控える
 コンセンサスは「クソくらえ」
 マリッサ・メイヤーの問題
 マネジャーは「決着」をつけよ
「第一原理」で人を導く
 つねに第一原理に立ち戻る
「天才」とうまく付き合う
 功罪の「両面」を分析する
カネはカネだけの問題ではない
プロダクトがすべてに優先する
 スピードの「邪魔」を取り除く
 異端を受け入れよ
去る者に敬意を払う
会議を仕切る
 資料は絶対に「先」に共有する
 ハイライトとローライトを含める

Chapter3 「信頼」の非凡な影響力 「心理的安全性」が潜在能力を引き出す

 信頼は「きれいごと」ではない
 「建設的」な意見の不一致
 「心理的安全性」が高いチームをつくる
正直で謙虚な人材を見きわめる
 コーチされるのに必要な資質
 正直に弱点を認められるか?
「フリーフォーム」で話を聞く
 「ありきたり」の声かけでいい
「完全な率直さ」を身につける
 フィードバックは「瞬間」を捉える
 「真っ正面」から向き合う
 「率直さ+思いやり」の方程式
「すべきこと」を指図するな
 「人当たりの悪いギバー」になる
「勇気」の伝道師になる
 突き進む許可を与える
「ありのままの自分」をさらけだす

Chapter4 チーム・ファースト チームを最適化すれば問題は解決する

 チームがなければ何もできない
 全員が「チーム・ファースト」になる
 エゴと野心を超えてチームをまとめる
 勝つだけでなく、正しく勝つ
問題そのものより、チームに取り組む
 グーグルとアップルの「おもちゃ」の取り合い
「正しいプレーヤー」を見つけよ
 「チーム・ファースト」で考えているか?
 「ずけずけ」と意見を言っているか?
 「スター」だけではチームにならない
 「当事者」をチームに加える
ペアで仕事に当たる
  同僚フィードバック調査
同じテーブルに着く
 優秀なチームはメンバーのIQを上回る
 性別は関係ない
「最大の問題」に切り込む
さっさと「不満大会」を切り上げろ
 「すべきこと」に集中する
正しく勝利する
 不誠実を許すな
リーダーは先陣に立て
 苦しいときこそ前に出る
人々のあいだの「小さなすきま」を埋める
 全員の様子を「俯瞰」する
 小さな「声かけ」が大きな効果を持つ
「親身になる許可」を自分に与える

Chapter5 パワー・オブ・ラブ ビジネスに愛を持ち込め

 存在をまるごと受け入れる
「やさしい組織」になる
 同僚の家族に興味を持つ
 病床のジョブズとの絆
 個々のやさしさが組織のやさしさになる
立ち上がって「応援」する
 アイデアを評価する「5回の手拍子」
つねに「コミュニティ」に取り組め
 ざっくばらんな集まりをつくる
 「社会関係資本」を生み出す
人を助けよ
 「5分間の親切」をする
創業者を愛せ
 ビジョンは計算を超える
 会社には「心と魂」が必要
エレベーター・トーク ── 雑談の偉大な力

Chapter6 ものさし 成功を測る尺度は何か?

 成功者は孤立を覚える
 ビジネスを成功させるカギ
 リーダーは「行動」でその座を勝ち取る
 「人間的な価値」が成功につながる
  次はどうするか?
 自分の成功を測る「ものさし」

謝辞

訳者あとがき

『一兆ドルコーチ』を読んでの感想、気づき

筆者はコーチングを職業としている者の立場としての興味として、本書を手に取りました。

本書を読んでの感想を一言で言うなら、『こんなコーチング本を待っていた!』といった感想です(笑)

筆者が感動したのはビルキャンベルがどんなコーチングをしていたのかとか、部下にどう接していたかとかではなく、ビルキャンベルの人間性でした。

ビルキャンベルはコーチとしてだけではなく、人を導くリーダーとしての在り方、そのものを伝えてくれています。

巷のビジネス書は理論や方法論を伝えているものばかりですがこの書籍はビルキャンベルという『人』を伝えている書籍なのです。

だから、これまでのビジネス書とはまた違った視点で描かれています。

真の影響力とは結局は人間性なのだな、と改めて気づかせてくれる一冊です。

人を導いたり、上の立場にいる人であるなら常に手元に置いておきたい書籍ですね。

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