近年ビジネスシーンなどでも『ラポール』という言葉がよく使われるようになりました。
ラポールとは心理学で『信頼や安心感が築かれている関係』のことをいいます。
普段私たちは多くの人と出会い、コミュニケーションのなかで無意識的に相手がどのような人が判断しますよね。
とりわけ初対面の人にとっては『相手が安心して交流できる人か』が重要なポイントになってきます。
つまり、『ラポールが築けるか』によってコミュニケーションの質も大きく変わってくるのです。
そこで本記事では
- ラポールの概要
- ラポールを築くことの効果や築けないことのデメリット
- ラポールの築き方のコツ
などを紹介していきます。
目次
ラポールとは
冒頭で説明したように『ラポール』とは『信頼や安心が築かれている関係』のことをいいます。
ラポールの発祥はオーストリアの精神科医『フランツ・アントン・メスメル』がクライアントとの関係性を表すために用いられた言葉だと言われています。
この歴史からセラピストやカウンセラーなど心の治療に関する分野に関わる人の専門用語のように使われていました。
しかし、近年では治療の分野のみならず、セールスパーソンやコンサルタントなどコミュニケーションを主体とするビジネスマンの間でも一般的な用語となりました。
治療化はクライアントとの信頼関係によって治療の方針や効果が大きく影響されます。
同じようにビジネスにおいても取引においても信頼関係が大事であるからこそ、一般的になってきたといえますね。
ラポールが築かれているメリット
ラポールが築かれているとコミュニケーションが円滑になります。
コミュニケーションが円滑になるということは『お互いに興味、関心を持って話ができる』ということでもあります。
仮にビジネスの現場であれば、ラポールが築かれた相手との商談やプレゼンテーションが上手くいく可能性が飛躍的に高まります。
いわば、ラポールの築くことに長けている人はビジネスの成長も早いともいえるのです。
ラポールが築かれていないデメリット
ラポールが築かれていないと良好な関係性が築けません。
どのような相手にしろ、信頼関係の構築なしに物事が円滑に運ぶことがないからです。
例えばラポールの構築なしにプレゼンテーションをしたとします。
するとプレゼンをした見込み顧客が商品やサービスに対する関心は著しく低いものになります。
仮に運良く商談を交わしたとしても、後日に破談になる可能性が非常に高いです。
文字通り信頼に足る人だと思われていないからです。
このように信頼というコミュニケーションの土台が築かれていないと努力が無駄になってしまう可能性が高いのです。
逆に実力が非常にあったとしても、ラポール形成が苦手な人は非常に損をしているといえます。
初対面の人でも簡単に築けるラポール形成のコツ
初対面の人でも迅速に信頼関係を築けるラポール形成のコツは以下の3点です。
・過去の失敗談や未来のヴィジョンを話す
・相手との非言語を合わせる
相手との共通点を見つける
ラポール形成において最も簡単で効果的なものが相手との共通点を見つけることです。
人間は共通点を見つけることによって無意識的に繋がりや安心感を感じるからです。
例えば、
- 年齢
- 職業
- 住んでいる地域や出身地
- 兄弟関係
- 誕生月や星座、血液型
などのパーソナルな情報から
- 趣味
- 目標やヴィジョン
- 好きな芸能人
- 好みの異性
などの価値観に関わる情報など共通点はいくらでも見つけることができます。
共通点はニッチで関心があるものがベスト
さらに共通点はニッチであればニッチかつ、関心があるほど信頼関係が構築しやすくなります。
例えば、
- 誕生日が同じ
- 同じ学校の出身でかつ、同じ部活に通っていた
- 最も好きなアーティストが同じかつ、好きな曲が同じ
といった統計的に希少な共通点になればなるほど、あっという間に距離は縮まります。
しかし、最初からそういったニッチな共通点を見つけにかかるのはかえって不自然ですよね。
だから一般的にで広い範囲から徐々に共通点を見つけていきます。
例をあげれば
「地元はどちらですか?」
「関西出身ですね。」
「私も関西なんですよ!ひょっとして兵庫県ですか?」
「そうです!兵庫の神戸市出身です!」
「私も神戸出身ですよ!奇遇ですね!」
というメジャーな範囲から徐々にニッチな共通点に絞っていけば自然に深い共通点を見つけることが出来ます。
上記の例の場合、育った街が同じだったので
- 地元の事情や風土
- いきつけの場所
など同郷ならではの共通の話題が生まれ、さらに共通点を見つけることが出来ます。
こうやって共通点を発見する度に、警戒心が解け強いラポールが形成されていきます。
過去の失敗談や未来のヴィジョンを話す
過去の失敗談や未来のヴィジョンをシェアすることも効果的です。
人は初対面の相手には無意識的に自分の良い部分だけをみせようとします。
特にビジネスの現場では最初から自分の弱みを見せるのは非常に避けたいことでしょう。
しかし、良いところだけを見せようとすればするほど相手は警戒心や疑心が生まれやすくなります。
過去の失敗談を話せばこの警戒心が解けやすく、自分の人間性が相手に伝わるのです。
一言で失敗といってもちょっとしたミス程度のことではなく、自分にとってとても恥ずかしいと思えることなど大きな失敗談がよいです。
例えば、ドラマやアニメなどでキャラクターの辛い過去のストーリーなどをみてそのキャラクターのファンになることがありますよね。
こういった深い共感や感情を揺さぶるようなストーリーは深いラポールを築くきっかけになります。
同じように未来の目標やヴィジョンを話すことも効果的です。
ビジネスの現場であればヴィジョンを共有できる人がより深く、長い信頼関係を築くきっかけになります。
相手との言語と非言語を合わせる
初対面でかつ、速攻で相手とラポールを形成したいのであれば相手の言語と非言語を合わせることが効果的です。
『言語を合わせる』とはなるべく相手と同じ言葉を使って会話をすることですね。
例えば「今日は暑いですね。」と相手が話したら「そうですね。今日は暑いですね。」と返します。
言葉を合わせるのはシンプルなことですがこれは相手との気持ちを共有し、歩み寄る目的でおこないます。
逆に「今日は暑いですね」と相手が話して「そうですね。今日は気温が高いですね」と微妙にニュアンスを変えてはどうでしょうか。
両者とも言っている意味は同じようなことかもしれませんが言葉の裏に意図している意味が異なっているかもしれず、違和感が残ります。
『非言語を合わせる』とは気持ちや身体の動きを合わせることです。
先ほどの『暑いですね』と声をかけてきた人が『暑さに対する不快感』を示していたらこちらも暑さに対する不快感を示し、共感します。
相手が辛そうな表情をしたら、こちらも少し辛そうな表情をします。
『言葉』と『非言語』を合わせることは最もシンプルにラポールを形成できますが、相手に真似されているように感じさせられてしまうと不自然になりますのであくまで自然に合わせるようにします。