心理学やコーチングなどを学んでいる人はビリーフという言葉を聞いたことがあるのではないのでしょうか?
ビリーフ(belif)とは心の底から強く信じていることです。
実はこのビリーフは知らず知らず人生に非常に大きな影響を与えています。
ビリーフによって人生がうまくいく人もいれば、ビリーフによって人生がうまくいかなくなることもあるのです。
そこで本記事では
- ビリーフの概要と仕組み
- ビリーフが人生に与える影響
- ビリーフが出来る過程
などを解説していきます。
ビリーフとは?
先述したようにビリーフとは心の底から強く信じていることです。
〇〇は〇〇であることが真実である。と信じていることはビリーフになります。
・あの人はどんな仕事もよくこなす
・あの国の人はみんな自由気ままだ
・世の中の人の大半は冷たい
・傘を持って出かけると必ず忘れる
といったように、人や組織、事象に関わらずなにかの対象に対して強く信じていることは全てビリーフになります。
ビリーフの見極め方
ビリーフのわかりやすい見極め方は心の反応です。
人はビリーフにそぐわない事象や現象を体験すると無意識に反発心を持ちます。
例えば、自分が女性だとして「とても綺麗ですね。」と初対面の人に言われたとします。
すると、大抵の人はいやいや、そんなことはないですよ。と謙遜するでしょう。
なぜなら、大抵の女性は自分のセルフイメージに対して『自分は綺麗だ』というビリーフを持っておらず、むしろ『綺麗じゃない』というビリーフを持っているからです。
自分が『綺麗じゃない』というビリーフを持ち続けている限り、誰かに綺麗だと言われても心のなかでお世辞で言ってるんでしょうなどと思って素直に他者の称賛を受け入れられません。
このように無意識に反発心を覚えることにはその人のビリーフが隠れていることが多いのです。
ビリーフが人生に与える影響
人はビリーフによって
・感情
・価値観
あらゆる面で人生に大きな影響を与えています。
わかりやすいのは宗教です。
『キリスト教こそが神の絶対の教えであり、真実である』という強いビリーフを持っている人がいたとします。
このビリーフを持っている人はキリスト教の教えに沿った生き方をすることが生き甲斐となり、価値観になります。
しかし、その反面、他の宗教に対しても無意識的に許容的に接することが難しくなります。
なぜなら、キリスト教こそが神の絶対の教えというビリーフと他の宗教の考え方が一致しないからです。
一個人のビリーフだけではなく、集団としての群衆心理のビリーフもあります。
とある世間での一般常識のようなものです。
集団のビリーフの違いが国家間の争いや戦争に繋がることもあります。
例えば尖閣諸島の領土問題は「尖閣諸島は日本の領土である」という日本側のビリーフと「尖閣諸島は中国の領土である」という中国側のビリーフのぶつかり合いです。
どちらが正しいかはさておき、両者がこのそぐわないビリーフを持っている限り、争いはおさまりません。
このように人はビリーフに沿うように生きているといえます。
強く信じていることを肯定化し、さらに強く信じることによってさらに強いビリーフを形成していくのです。
ビリーフが出来る仕組み
ビリーフが出来る仕組みは大きく分けて
- 体験
- 分析
- 解釈
の三段階を繰り返し、同じ解釈を繰り返すことによってビリーフが形成されていきます。
例として『私は仕事が出来ない』というビリーフが出来る過程を解説していきます。
1・体験
ビリーフ形成のきっかけとなるのはビリーフが出来る根拠になる体験です。
『私は仕事が出来ない』というビリーフを形成するきっかけには、大抵は仕事上でのなんらかの失敗エピソードがあります。
重要な連絡を怠ったとか、取引先に叱責をもらったとかです。
しかし、失敗体験そのものが『私が仕事ができない』というビリーフに直接的に結びつくことはありません。
体験そのものがどのようなビリーフを形成するかはその後の分析と解釈の行程が関わってきます。
2・分析
分析とはその体験の原因を分析する過程のことです。
人間の脳は痛み、もしくは快楽となる体験をした時に無意識的にその体験の原因となった要因を特定する学習機能があります。
痛みとなった体験ならば原因を特定することによって、同じ痛みとなる体験を繰り返さない為です。
↓
なぜこの失敗をしてしまったんだろう
↓
しっかり確認してなかったからかな
まだこの仕事をこなせるレベルじゃなかったかな
事前に上司に相談しなかったからかな
といったように連想的に原因を思い浮かべるのです。
この分析という過程ではまだビリーフ形成に至っていません。
ビリーフ形成には次の解釈のステップが深く関わってきます。
3・解釈
解釈は分析の過程で挙げられた原因に対する意味付けにあたります。
この解釈こそがビリーフ形成に最も影響をあたえます。
先ほどの仕事の失敗の例であれば
- 確認義務を怠った
- スキル不足だった
- 上司への相談を行わなかった
といった要因に対して解釈、意味付けが入ります。
- 私は未熟だった
- 私はミスが多い
- 私は大事な場面で失敗する
といったような意味づけをするのです。
この意味づけの過程が自信やセルフイメージにも深く影響します。
一度の体験だけではビリーフは小さなものです。
しかし、ビリーフは同じ意味付けをする体験を繰り返せば繰り返すほど強固になります。
もし、仕事で失敗を繰り返してしまった場合
↓
私は同じミスばかりする
↓
私は仕事ができない
というように、より深く偏ったビリーフが形成されていきます。
今回の例はネガティブに偏ったものでしたが、逆に肯定的な解釈をすることによってポジティブな信念を形成することも可能です。
例えば、仕事で失敗した→自分の能力不足だった→自分はまだ成長できる!という風にです。