アンソニーロビンズについての知見を深めていくと、誰もが一度気になるのがアンソニーロビンズがいったいどのようなコーチングをするのか?というところではないでしょうか?
日本で出版されているアンソニーロビンズの書籍などを読むと『トライアド理論』や『シックスヒューマンニーズ理論』などコーチングの考え方はおおよそ推察はできます。
筆者は『じゃあ、実際にアンソニーの長期間のコーチングを受けたらどのように進んでいくのだろう?』と思っていました。
そこで筆者は、アンソニーロビンズ社で実際に働いているコーチの元で、アンソニーロビンズのコーチングのベースにあたる『7マスターステップ』(英名:The Seven Master Steps for Creating Lasting Change)というコーチング理論を学びました。
本記事ではこのアンソニーロビンズコーチング理論である『7マスターステップ』を詳しく紹介していきます。
なおトライアド理論やシックスヒューマンニーズ理論については以下の記事で紹介しています。
目次
- 1 アンソニーロビンズの『7マスターステップ』とは?
- 2 7マスターステップの全容
- 2.1 Step1・相手の世界に理解と敬意を示し、感謝する Understand and Appreciate Their World.
- 2.2 Step2・レバレッジを手に入れる Get Leverage.
- 2.3 Step3・パターンを崩す Interrupt The Pattern.
- 2.4 Step4・問題を解決可能な形で定義する Define The Problem In Solvable Terms.
- 2.5 Step5・力を与える選択肢を創造する Create Empowering Alternatives..
- 2.6 Step6・変化を条件付けする Condition It..
- 2.7 Step7・力を与える環境を創造する Understand and Appreciate Their World.
- 3 7マスターステップの覚え方
アンソニーロビンズの『7マスターステップ』とは?
先述したように『7マスターステップ』はアンソニーロビンズのコーチングの根幹を為す重要な理論です。
アンソニーロビンズはこの7マスターステップにしたがってコーチングを進めていけば年齢性別など関係なく、誰でも永続的に肯定的な変化を得られるとして、理論を体系化しました。
アンソニーロビンズ社所属のコーチはこの7マスターステップを何度も何度も復習して頭と身体で覚えるくらい、この7マスターステップはアンソニーロビンズのコーチング理論の根幹的な要素になっています。
では前置きはこれくらいにして実際の7つのステップをひとつひとつ紹介していきます。
7マスターステップの全容
7マスターステップは以下のステップにしたがってコーチングを進めていきます。
※カッコ内の訳は先入観のないようにほぼ直訳です。
- Understand and Appreciate Their World.
(相手の世界に理解と敬意を示し、感謝する) - Get Leverage.
(レバレッジを手に入れる) - Interrupt The Pattern.
(パターンを崩す) - Define The Problem In Solvable Terms.
(問題を解決可能な形で定義する) - Create Empowering Alternatives.
(力を与える選択肢を創造する) - Condition It.
(変化を条件付けする) - Create an Empowering Environment.
(力を与える環境を創造する)
直訳の部分だけ読むと何がなんだかわからないですよね。
そこで各ステップの詳細を解説していきます。
※ここから先は筆者の独自の調査とコーチング経験に基づいた持論も交えているので参照程度にご覧ください。
Step1・相手の世界に理解と敬意を示し、感謝する
Understand and Appreciate Their World.
相手の世界に理解と敬意を示し、感謝するというのはいわばコーチがクライアントへの理解を深めるステップです。
相手の世界とはクライアントの人生を構成している要素のことだと
- クライアントの考え方
- クライアントの信念
- クライアントの価値観
- クライアントの世界観
などなど、現在のクライアントの人格や人生を構成している全ての要素に対して理解と敬意もって接するということです。
相手の人生に理解と敬意を示すことによって、コーチはクライアントの抱えている問題を見極め、クライアントはコーチに対する信頼を持ちます。
このステップは最初ながら、セッションの行方を左右するため非常に重要です。
このステップを疎かにしてしまうと、その後のステップでどのようなコーチングアプローチをしてもうまくいきません。
このステップにおいて、コーチは主に質問と傾聴に徹しながら、心理学などの見解に基づいてクライアントについて理解と敬意を深めます。
Step2・レバレッジを手に入れる
Get Leverage.
アンソニーロビンズのいう『レバレッジ』とは一言でいうならクライアントが人生を変えるほどの強い動機のことです。
レバー(てこ)を使って少ない負荷で大きなものを動かす『てこの原理』のことを指しています。
FXなどでは少ない投資金額で大きなリターンを得ることをレバレッジをかけると言ったりするそうですが、コーチングにおいても似たような主旨で使います。
つまり、クライアントの人生を変えてしまうほどの動機をコーチとクライアントが見つけるのです。
なぜならアンソニーロビンスは、人が行動しないのはその人の能力に原因があるのではなく、動機がないことが原因であるという考え方を持っているからです。
つまり、大きな現実を動かすような動機さえ見つけることが出来れば、てこの原理のように少ない負荷で大きな現実を動かすことが出来るということです。
この段階ではコーチは質問を用いてクライアントのレバレッジを見つけるワークをします。
Step3・パターンを崩す
Interrupt The Pattern.
ここでいうパターンとはクライアントの人生を制限するパターンのことを指します。
人はそれぞれ
- 頭で悪いとわかっているのについついやってしまうこと
- なぜか繰り返される悪い結果
- 変えたくても変えられないこと
などといった人生を制限するパターンを持っています。
ここの段階でコーチはStep1と2で知り得たクライアントの理解に基づいてさまざまなアプローチでクライアントの人生を制限するパターンを崩すことをおこないます。
Step4・問題を解決可能な形で定義する
Define The Problem In Solvable Terms.
このステップはクライアントの抱えている問題を解決へと導く気づきを与える段階です。
大きな問題ほど多くの人はそれを自分では解決できないと思っています。
- 自信の欠如
- 失敗体験
- 自己否定
- 問題への偏見
などといった要素が原因でクライアントは問題そのものや、問題解決への視野が制限され、歩みを止めているのです。
これに対してコーチはクライアントが先入観なく、冷静に、客観的に問題の本質を見極められるようにサポートします。
結果、クライアントは問題の捉え方がクリアになり、問題解決への具体的な道程が明確になります。
Step5・力を与える選択肢を創造する
Create Empowering Alternatives..
このステップでは、クライアントの人生を肯定的な方向に導く新しいパターンをインストールします。
『力を与える選択肢を創造する』という直訳だとわかりづらいですが、要はそれまでクライアントの人生を縛っていたネガティブなパターンから、新しいポジティブなパターンに変えるというイメージです。
人は習慣の生き物です。
それが肯定的なものであろうと否定的なものであろうと、一度出来上がったパターンから抜け出すことはなかなか難しいのです。
ただ、悪い習慣をやめようとコミットしても、時の経過と共に自然とまた以前と同じように戻ってしまうのです。
だから、クライアントにとって悪い習慣に変わる、新しい肯定的な動機や行動を引き出す習慣が必要になります。
このステップではそういったクライアントが肯定的で能動的なパターンを引き出すことをサポートしていきます。
Step6・変化を条件付けする
Condition It..
変化を条件付けするとはつまり、クライアントがこれまでのステップで起こしたポジティブな変化をしっかり習慣化させていく段階のことです。
このステップまでくるとクライアントは目標や問題解決にむけて何らかの行動を起こしています。
それらの肯定的な変化を起こすことを、当たり前にできるように条件付けしていくのです。
人は無意識的に、変化に対して必ず抵抗するようにできています。
ダイエットをしたらリバウンドが起こるのと同じ原理です。
したがって、このステップを怠るとせっかく肯定的行動を起こしているのにリバウンドを起こし、結果的に以前より悪い現実になってしまう可能性があります。
この条件付けも非常に重要なステップです。
Step7・力を与える環境を創造する
Understand and Appreciate Their World.
変化を条件付けすることができたら、いよいよ最後のステップです。
これまでのステップでコーチはクライアント個人にアプローチしてきましたが、ここではクライアントを取り囲む環境にアプローチします。
なぜなら、クライアントがよりよい人生を歩む為には、クライアントがより良い環境に身を置かなければならないからです。
質の良い環境に身を置くことによって、クライアントは永続的に肯定的な変化を得ることができます。
しかしこれまでのステップでクライアントは肯定的な変化を起こしましたが、その影響で今まで身を置いていた環境と不調和が起きることがあります。
それまで付き合いがあった人達と価値観が合わなくなったり、以前は楽しく感じていたことも楽しめなくなったり、身内との意見が合わないということもあります。
これは以前のクライアントが築き上げてきた環境なので、これまでのステップを踏んできたクライアントには合わなくなってくるのです。
だからより肯定的な人生へ導く為の新しい環境に、クライアントは身を置かなければなりません。
7マスターステップの覚え方
最後にアンソニーロビンズ社のコーチがどのようにこの7マスターステップを習得しているかをお伝えします。
答えは何度もやって身体で覚えることです。
詳細は以下の動画で
英語が得意な方は是非チャレンジしてみてください。